話していて気づかいのある人とない人

よく人と話していて感じるのは、その人の中に「気づかい」がある人とない人がいるということです。

一言で「気づかい」といっても難しいのですが、相手の立場というものを推し量って話すというような意味でとらえていただければと思います。

この「気づかい」は、「おべっか」や「丁寧さ」とは異なるものです。

相手の意図している部分がどこにあるのかが不明の場合であっても、いろんな可能性を含めて相手の立場を推し量って言葉を発するというようなことです。

この「気づかい」は、普通は年をとるほどに次第に身についてくるものですが、誰もが身に着けることができるわけではなくて、人と人との関わりを大切にしていない人には身に付くことはありません。

一方で、この「気づかい」は仕事の中で身に着けるものでもあります。

たとえば、接客業のようないつもお客様と接している職業の場合には、長年の仕事の中で身についてくるもののように思います。

また、この「気づかい」は言葉というよりも、言葉を発するときの「気持ち」や「表情」といったものによりウェイトが置かれているものかもしれません。

話し方のトレーニングの中で大切なポイントとして「態度と表情」というものがあります。

言葉だけではなくて、話し方には「目で見て伝わる」という部分もあるのです。

1つ例を言いましょう。

あなたは、コンビニやスーパーで買い物をしたとします。

レジでお金を払うときの態度や商品を受け取った時の表情を考えてみてください。

自分のお金で商品を買っているのだから、どんな態度や表情でもいいだろうと考えていませんか?実は、そういう考え方こそが、「気づかい」のない考えなのです。

商品を受け取った時に、店員さんの目を見て「にこっ」としてみましょう。

それだけで、「気づかい」が伝わります。

 

もう1つ例を言いましょう。

友人や家族と約束していた日時に、仕事が突然入ってきたとします。

その時、あなたは仕事を選びますか?それとも友人や家族との約束を選びますか?

日本人の場合は、仕事を選びそうですよね。

もしあなたが仕事を選んだとしたら、友人や家族には何といいますか?

もし、友人や家族との約束を選んだとしたら、会社の人には何といいますか?

このように、2つに1つしか選択肢がないような場合に、いかに「気づかい」ができる言葉を話せるかが大切だと思います。

この場合、一番悪い対応は、一方に対して「うそ」を言うことです。

その場だけやり過ごせばいいという考え方は「気づかい」のない考えです。

きちんと誠意を持って説明すれば、相手だって必ずわかってくれます。

池上彰さんの話し方っていいですよね

砂漠

先日、池上彰さんの「大人も子どももわかるイスラム世界の「大疑問」」という2002年に出版された本を購入し、ここ数日で一気に読み終わりました。

今から13年ほど前に書かれた本でしたが、イスラム教のことや、中東の歴史のことなど、今まで全く知らなかったことを初めて理解できたように思います。

池上彰さんと言えば、ニュースのわかりやすい解説者としてよくテレビ出ていますが、書かれた本を読んでも、テレビと全く同じようにわかりやすく、この人の深い知識と、わかりやすい説明には本当に敬服してしまいます。

加えて、とても謙虚で丁寧な話しぶりと、説得力のある話の組み立てにも、感心してしまいます。

一体どのようにしたら、池上さんのような話し手になれるのだろうかと、その舞台裏を知りたくなります。

池上さんのすばらしいのは、ニュースや事柄に至るまでの歴史や経緯について十分に下調べをして、点と点をつなぎながら、そのニュースに至るまでのストーリーを解明している点にあると思います。

その歴史や事実を事細かに伝えるというより、「なぜ、そうなるのか」という因果関係を聞き手が理解しやすいように、アレンジして伝えているところが、池上流だと思います。

その昔、NHKで週刊子供ニュースを10年近くもやっていたという経験が、池上流のニュース解説を生み出していったのかもしれません。

さらに、池上さんのすごいところは、「自分の意見を絶対にニュース解説に混ぜない」という点だと思います。

多くのテレビのニュースアナウンサーや解説者は、自分の意見を混ぜながらニュースを紹介していることが多いのですが、世の中にはいろんな考え方があって、自分の意見を混ぜてニュースを紹介することは、視聴者に考えさせないということにもなるし、意見の違う人に無理やり自分の考えを押し付けることにもなると思います。

その点で、池上さんの解説の姿勢は、「視聴者に考えさせるヒントを与えている」というところまでで、結論はどうぞ自分で考えてくださいと言っているのです。

これは、私たちの日常の話し方にも参考になることがあると思います。

話の結論を言ってしまうよりも、相手が話の内容を聞いて、「それって、こういう事なの?」と逆に気づいて、聞き返してくるような話し方が、最もその人の記憶に残ってくるのではないかと思うのです。

一方的にしゃべり続ける人より、相手にしゃべるための隙間と材料を与えながら話すという人の方が、圧倒的に好感度があがるように思いませんか?

そういう意味で、池上さんの好感度はピカイチだと思います。

今回、池上さんの書かれた本を読んで、宗教について考えたり、中東の歴史について考えたり、これから先の時代について考えたりすることができて本当によかったと思いました。

皆さんも、書店で池上さんの本を手に取ってみてはいかがでしょうか?

ヒューマン話し方教室 スタッフより

メンタルオアシスの必要性

昔と違って、家庭や会社を直接訪問する営業マンも少なくなってきました。

インターネットの世の中になって、なんでもネットという風潮が強くなっていますが、人と人とが直接会って話すということは、むしろ必要なことではないでしょうか。

昨今の生命保険や自動車保険では、ネット申し込みがあたりまえとなって、ネットで申し込むと割引が受けられるというような宣伝文句があふれています。

昔は、生保レディーがたくさんいた業界も、いまでは会社や家庭に直接訪問すると、逆に警戒されたり、セキュリティ上から建物に入れなかったりで、営業職の人員が大幅にカットされてきているように思います。

そういう意味で、今の時代、営業職ほど大変な商売はないのです。

昨年、保険会社の営業の人が直接訪ねてきて、お話を聞く機会がありました。その人は、別の業界から、保険業界に入ったばかりという新人の営業の人でした。

聞くと、ここ1ヶ月ほど営業しているが、1件も契約をとれないということでした。

昔のような義理人情の世界ではない時代に、人のつてもなく、一人で営業をしているという心細さはかなりなものだろうと思い、いろいろとお話しを伺いました。

いくらなんでもすぐに契約というわけにはいかないので、2回ほど通っていただいた後に、その方と保険の契約を結びました。

恐らく、正社員とはいっても、契約件数に応じて歩合制の給料だったりということなのだろうと思いますが、全く違う業界から保険の営業に転職して、すぐに成果を出せるほど簡単ではありません。結局、その人は今年に入り会社を辞めたとの報告がありました。

もともと厳しい営業の職種に思い切って就職したものの、成果が出せずに辞めてしまうというような人は、以外と多いのではないでしょうか。

働く中でのストレスには4つのタイプがあります。

  • 1つは、仕事が忙しすぎてかかるストレス
  • 1つは、仕事の成果が出なくてかかるストレス
  • 1つは、人間関係から来るストレス
  • 1つは、将来の不安から来るストレス

の4つです。

生活のため、働くことを辞めるということは難しいので、働きながらこれらの問題を解決しようと試みるのですが、実際には解決できずに、病気になったり、会社を辞めたりする人もいると思います。

このような中で必要なのは、「メンタルオアシス」だと思います。「メンタルオアシス」とは、「乾いた心を潤してくれる場所」という意味です。

人は、働く以上、ストレスなく働くということは不可能です。むしろ、ストレスがかかってもびくともしないくらいの強さを身に着けていくことが必要です。

実のところ、そういう強さを持っている人は、自分自身の中に「メンタルオアシス」を持っている人ではないかと思うのです。

よく酒を飲んだりしてストレスを解消しようとする人もいますが、ストレスは「そのことを人に話す」ということで、かなり解消します。自分の悩みを人に話すというような場こそが「メンタルオアシス」だと思うのです。

ストレスは薬を飲めば治るというようなものではありません。病院に行けば治るというものでもありません。自分のストレスを人に話すことができないという境遇の人は、むしろ思い切って誰かに話すことが大切です。そうすることで、何かが変わっていくと思います。

「一人で悩まない」ということが一番大切なことです。

話し方教室にも、人前で話すことがストレスになったり、自分の話し方がまわりから評価されていないことに不安を覚えストレスを抱えている人がやってきます。

ところが、話し方のレッスンの中で、自分の正直な気持ちを吐露したり、心の中をからっぽにしてトレーニングする中で、いつの間にか自分の中にあった不安やストレスが小さくなっていくのが感じられてくるようなのです。

つまり、「思い切り話す、思い切り声を出す」ということが大切なのです。

今、ストレスを抱え、悩んでいる方は、是非ヒューマン話し方教室にご相談ください。

ヒューマン話し方教室 スタッフより

相手の話が理解できない時に、どうするか?

緊張しないための日頃の話し方

相手が話している内容が自分にとってよく理解できないという場合があります。

そのような時、あなたはどんな態度をとりますか?

  1. 無表情で違う方向を見る
  2. わかったようなふりをして笑う。
  3. わかったようなふりをしてうなずく。
  4. わかったようなふりをして話を変える。
  5. 頭を傾けてわからないようなふりをする。
  6. わからないことを漠然と相手に伝える。
  7. もう一度説明してほしいと伝える。
  8. ここがわからなかったと具体的に伝える。

1対1で話している場合は、相手を無視するようなことはできませんし、わかったようなふりをしても、相手からそのことが察知されてしまうので、おそらく5~8の態度をとる人が多いと思います。

しかし、会社での10人程度の会議や、大きな会場で行うプレゼンなどの場合はどうでしょうか?

この場合は、わかったようなふりをする人が多いのではないかと思います。

もちろん、自分の勉強不足で話がわからない場合は別として、聞いている大勢の人がおそらく理解していないと考えられるような場合は、人数に関係なく話し手にきちんと質問をして、内容をみんなに理解できるように話してもらうことが必要です。

実は、「人前で話す」ことだけでなく、「人の話を聞いて質問する」ということも話し方の上達のために大切なことです。

大きな会議になればなるほど、人前で質問することは、緊張したりあがってしまうことが多いと思います。

ですから、緊張することが少ない日頃の小さな会議で、質問をする習慣をつけておくことが話し方の訓練につながります。

似たような話として、あなたが道を歩いていて、突然外国人から道を聞かれたとします。

外国語がわからないあなたは、どういう態度をしますか?

  1. わからないというジェスチャーをして逃げる。
  2. 日本語でわかりませんと言って逃げる。
  3. 言葉はわからなくても、必死に話している内容を聞こうとする。
  4. 内容がわかるような人のところまで連れて行く。

人から何かを聞かれたときに、きちんとその人の目を見て話を聞くことは、たとえ言葉がわからなくても相手に誠意だけは伝わります。

日頃からの小さな心がけが、あなたの話し方を少しずつ変えていくと思います。

ヒューマン話し方教室 スタッフより

新社会人としてのメールのマナーとは?

メールのマナー

いよいよ、あと一か月で学生から社会人へとステップアップされる方も多いと思います。

高校や大学を卒業されて就職される方にとっては、3月という時期はとても貴重な時期だと思います。

すでに会社の研修に入っているような場合もありますが、4月の入社前に、新しい住居を探したり、学生時代の友人と会ったり、どこかに旅行を楽しんだり、就職前に必要な勉強をしたりと、忙しい毎日を送っているのではないかと思います。

学生から、社会人になるということは考え方も変わっていくでしょうし、働くという意味について初めて考えることにもなると思います。

そういうフレッシュマンの方に1つだけ身に着けていただきたいのが、「メールのマナー」です。

恐らく、学生時代のメールは、いわゆる「要件だけのメール」とか「ラインやフェイスブックでの連絡」というような軽いタッチのメールで十分だったと思いますが、社会人が使うメールは、そのようなものとは全く違っています。

まずは、メールでの言葉使いを注意してください。

特に、仕事上のメールの文章、上司に向けたメールの文章、外部の会社の人へのメールの文章などは、十分に気を付けて文章を考えるようにしてください。

人とのアポイントメントも日時、場所、時間など細かく連絡する必要がありますし、そこで話し合う内容などについても、あらかじめ伝えておく必要があります。

メールだけで十分ではなく、あらかじめ電話で確認をとっておくことも必要な気配りです。

仕事上のパートナーと信頼関係を築くためには、電話とメールだけでなく、日々のコミュニケーションも重要な要素になります。

つまり、「仕事さえやればいい」と考えるのは大きな間違いで、「会社や組織全体の中で、どのような役割を果たせばいいのか」ということについて絶えず考えながら仕事をすることが大切です。

たかがメール1本であっても、その1本のメールで仕事の成功が大きく左右されることもあります。

そういう自覚をもって日々のメールの文章を作成しましょう。

具体的には、以下のような内容が必要です。

1.誰あて(会社名、部署、名前)に出すのか?
2.自分は何者(会社名、部署、名前)なのか?
3.要件は何なのか?
4.自分が何を相手に求めているのか?
5.相手の返信の期限はいつまでを希望するのか?
6.相手への敬意と感謝を述べる
7.署名(会社名、住所、メールアドレス、電話番号など)

このような7つの内容を意識してください。

直接話すのと違い、メールの内容に不足があると相手は内容を理解することが出来ないため、何度もメールを交わさなければならなくなります。

また、スケジュールや返信の希望を書かないと、いつまで経っても返信メールが来ないというようなこともあります。

できるだけ、相手の立場に立って理解しやすい文章を書くことが一番大切なことです。

また、相手により柔らかい文章にするのか、堅い文章にするのかも考えながら書くことが必要です。

このようにメール1つとっても学生と社会人は全く違うということを理解しながら、何事にも臆せずに、楽しく仕事をしていただければと思います。

ヒューマン話し方教室 スタッフより