学校の先生と親との会話で大切なことは何か

コミュニケーション

小学校や中学校のお子さんをお持ちの方が、担任の先生とどのような会話をすればいいのかと悩んでいる人が多いようです。

最近は、親がモンスターペアレントと呼ばれて、先生から恐れられているという現実もありますが、逆に先生に相談することができない「話べたなお母さん」もいるようです。

また逆に、先生側も、一部のモンスターペアレント的な親にびくびくしながら生徒指導をしているので、あえて問題に火をつけないよう一定の距離を置いている先生が多くなっているように思います。

いつの頃からか、先生と親が腹を割って子供の教育について話すというような関係がなくなったことは、とても不幸なことだと思います。

本日(2/16)のNHKの「あさイチ」で、この問題が取り上げられ、とても興味深い内容が話し合われました。

たまたまテレビを見ていたのですが、この問題の原因は、

1.子供に不利益が生じた時に、親は先生に謝罪を求める風潮がある。

2.先生は、親から責められないように絶えず防御の対策だけを考えている。

ということのようです。

つまり、親と先生の間に「子供をどう育てたらいいのか?」という問題より、「先生を評価する」とか、「親を評価する」ということが先にきていて、本末転倒の状態になっているようなのです。

私たちの一般の社会や会社でも、最近は「人が人を評価する」ということが一般的になってきていますが、果たしてそのこと自体は正しいのでしょうか?

裁判員制度などのように、時間をかけて情報を共有しながら、公平な立場で評価を下すならまだしも、強いものが、弱いものを一方的に評価するということでは、あまりにも殺伐とした世の中になってしまうような気がします。

このような中で、今日の「あさイチ」では、画期的な解決方法が紹介されました。

それは、

1.親は、子供の前では決して先生の悪口を言ってはいけない。

2.先生は、「その子供ひとりをどう育てるか」を親と話し合うようにする。

3.お互いに相手を思いやる話し方をする。

ということでした。

先生と親とが信頼関係を結ぶためには、「話し方」がとても大切です。

この話し方において大切なことは、

1.まず相手に敬意を払い、相手のことを褒めることから話し始める。

2.そのうえで感情的にならず、事実に基づいた話だけをする。

3.相手を責めるのではなく、問題点を解決する方法をいっしょに考える。

というようなことです。

これは、私たち一般の社会でも通用することだと思います。

いきなり、相手の非を追及するような話し方では、相手も防御の姿勢になってしまいますので、まずは相手を立て、感謝の意を伝えてから、問題点について話すということが、相手との信頼関係を深める上で、とても大切なことになると思います。

ヒューマン話し方教室では、このような人と人のコミュニケーションを円滑にする話し方もトレーニングすることができます。

ヒューマン話し方教室 スタッフより

卒論の発表は失敗してもいい

卒論発表

学生にとって、卒業論文の発表会というものはとても緊張するものだと思います。

私も、今から何十年も前になりますが、卒論の発表会で大きな失敗をしました。

自分が一生懸命に行った研究について、生まれて初めて発表したのですが、なぜかその前に一度も担当の先生の前で練習することはありませんでした。

他の講座の学生は、リハーサルをやったところもあったようですが、私はスライドを作るのに精一杯で、リハーサルを見てもらう余裕がなかったのです。

いきなり本番という場面でも、昔から度胸はあったので緊張はあまりしなかったのですが、15分の持ち時間を10分もオーバーして話してしまい、かなりのひんしゅくを買いました。

後から、担当の先生に「発表で一番大切なことは、時間を守ることだ。」とこっぴどく叱られました。

自分では緊張はしていなかったと思っていたのですが、時間を知らせる呼び鈴の音が全く聞こえていなかったようで、実際にはかなり緊張していたのだと思いました。

それ以来、社会人になってからも「発表の時間を守って話す」ということを肝に銘じるようになり、振り返ってみると卒論の発表はいい経験になったと思っています。

この失敗で一番学んだことは、いかなるプレゼンであっても、自分が話したい全部を話してはいけないということでした。言い換えると、プレゼンで一番大切なことは、聴衆が聴きたいことだけを話すだけでいいということです。

プレゼンの時間は長ければいいというものではなく、「目的」、「手段」、「結果」というものが聴衆にわかりやすく伝わるかどうかが重要であり、そのためには短い時間で明瞭に話したほうが伝わりやすいことがあります。

会社での報告会などでも、「報告書はA4一枚にしろ」と上司からよく言われたものです。データは緻密で詳細に、でも報告は簡潔で分かりやすくということが、社会で生きていく職業人にとって必要なスキルになっていると思います。

卒業論文の発表内容は、学んできた内容によってさまざまだと思いますが、「失敗しても大丈夫」という気持ちで、元気いっぱいに自信を持って発表するのがいいと思います。

「面接は交渉だ」と思って臨むことが大切です

面接というと、自分の自己紹介と思っている人も多いと思いますが、そういうことでは面接は成功しません。

たとえば、就職面接のような場合を考えてください。

もちろん、その会社の面接担当者に会うのは初めてでしょうが、相手もあなたに会うのは初めてです。

面接で失敗する場合は、あなたと担当者の間の話の距離が最初から最後まで変わらなかったような場合です。

面接担当者も、あなたからいろんなことを聞き出そうとすると思いますが、聞かれた内容よりも、面接担当者との間の話の距離をいかに縮めることができるか、ということが大切です。

このためには、相手が何を求めているのかが分からない場合は、きちんと聞き返してから答えるということも必要です。逆に、求めてないような話をだらだらとしてしまうと印象が悪くなります。

話はキャッチボールと同じで、一つの話から次の話へと移る部分がスムーズに連結し、お互いの理解が深まっていくようにする必要があります。

しかし、実際の面接の場合は、緊張してうまく話すということだけに集中してしまい、相手の顔もよく見ないで話してしまうようなこともあるのではないかと思います。

面接というと、面接担当者が上にいて、自分は下で評価されているというように考えている人もいるようですが、それはおおきな間違いです。相手が社長だろうが重役だろうが、相手と自分は対等であると考えて正々堂々と目を見て話すことが必要です。もちろん、対等とはいっても相手に対して真摯に礼儀正しく向き合うことは当然です。

また、相手からの質問だけでなく、自分からの質問もとても有効です。質問をすることで、よりよく知ろうという態度が相手に好印象を与えるからです。

「面接は交渉だ」という意味は、交渉とは、「相手を満足させて成功に導く」ことだからです。

面接が終わったときに、担当者としっかりと交渉できた、と思えば十分成功と言えるでしょう。

面接は交渉だ

ヒューマン話し方教室 スタッフより

三顧の礼と交渉術

三国志の物語の中に、劉備玄徳(りゅうびげんとく)が、天下統一のための参謀・相談役として諸葛亮(しょかつりょう、諸葛孔明)を得るために、3度も家まで訪ねてお願いをしたという物語があります。

これを「三顧の礼」といい、身分や年齢に関わらず、誠意を尽くし、礼儀をつくして、交渉に臨むことを言います。

前回の記事でも紹介した、話し方教室の「捨田利先生」も、人との交渉に関してはとても優れた方であり、それに関する本も出版しています。

交渉の技術が面白いほど身につく本

この「交渉の技術が面白いほど身につく本(捨田利裕著)」という本は、2001年に発売された本ですが、今読んでも色あせることなく、面白く読むことができると思います。

また、この本は韓国語にも訳されており、日本のみならず、多くのビジネスマンに役立ってきた本です。

人や会社との交渉において、相手から信頼されるためには、積極的に行動し、誠意と困難な状況に打ち勝つアイデアが必要です。

よく経営者の方が、テレビの番組などに出て言う言葉に、

「最近の若い技術者は、新しい商品の開発に対して、すぐに出来ないとか、無理だとか言って、どうしたら出来るのかを考えようとしない。」

という経営者の愚痴のような言葉があります。

たとえ、年下の社員であっても、命令だけで動くわけではなく、誠意を尽くした話し方で接していかなければ、人を動かすことはできません。

会社の組織においても、人間関係は複雑な上に、中間管理職になると、年下の社員と上層部の間に挟まれて、どうやって仕事を進めていけばいいのかと悩んでいる人も多いと思います。

また、対外的な契約交渉、クレーム対策などにおいても、人と接する場合はすべて交渉の技術が必要になってきます。

捨田利先生は、前回の記事でも書いたのですが、思ったらすぐに行動される方でした。また、それと同時に、とても不思議な交渉術を持っていました。

捨田利先生は、東京や横浜で話し方教室の会場をレンタルして話し方のレッスンを行っていました。5年ほど前になると思いますが、捨田利先生は、新橋駅前にある会場で話し方教室を開催するようになりました。

その時、私のところに来て、

「話し方教室を月曜日の朝の時間帯にやりたいと思っているんですよ。」というのです。

私は、驚いて

「仕事前の朝の時間帯に、話し方のレッスンを受ける人なんているんですか?」と尋ねると、

先生は、

「実はやりたいという人がいるんですよ。でもね、朝の7時30分くらいから始めないと仕事場に行くのが遅くなると思うんですが、困ったことに、7時30分からレンタルできる会場がないんですよ。」

「話し方教室の場合、発声練習などもあるので、声を出してもいい会場じゃないとだめなんですよ。」

と言っていました。

その話を聞いてからしばらくして、会場が見つかったということで先生が来られました。

その見つかった会場というのは新橋駅前にある喫茶店で、通常は8時00分に開店する喫茶店なのですが、その喫茶店のオーナーと交渉して、7時30分から喫茶店の中にある個室を借りることができるようになったということでした。

一体どういう交渉をしたのかと不思議に思いましたが、さっそく私に、

「新橋の朝のレッスンのポスターをすぐに作って欲しいんです。」という依頼が飛んできました。

こんな調子で、内部の人に対しても、外部の人に対しても、年下の人に対しても、誠意と礼節を持って交渉し、いつの間にか目的を達成していくので、私たちはそのことを「捨田利マジック」と呼ぶようになりました。

そういう捨田利先生の教えが、今でもヒューマン話し方教室を支えていると思います。

ヒューマン話し方教室 スタッフより