あなたの記憶に残るスピーチとは?

あなたはこれまでに、記憶に残っているスピーチに出会ったことがありますか?

その昔中学生だった時、演壇に立って話す校長先生の姿が思い出されますが、その話の内容は全く覚えていません。

個人的には、2005年に行われたアメリカのスタンフォード大学の卒業式で、スティーブ・ジョブズが行ったスピーチが記憶に残っているスピーチの1つです。

スピーチには、プレゼンテーションのようなスライドやビデオのような補助ツールはありません。

しかし、そのような補助ツールがないことで、聴衆は話の内容を予測することができず、演者の話に集中するようになります。

演者の方はといえば、話のストーリーがしっかりしていることと、よりわかりやすい言葉でゆっくりと話す必要があります。

スティーブ・ジョブズは、まず自分の生い立ちから話をはじめ、大学で学んだ頃の話、会社を立ち上げ成功してから、失敗した話、そして自分の病気の話、最後に「Stay hungry, stay foolish.」という印象に残る言葉でスピーチを終えています。

このスピーチを見ると、スティーブはスピーチの原稿を読んでいるのがわかると思います。

このスピーチで気づくのは、スティーブが頭を上げるときに、左右の聴衆を見ているという点です。

また、拍手があったときは、次の話を始めるまでに十分な間をとっていることがわかります。

そして最後は、同じ言葉を何度も繰り返し、聴衆に1つの言葉を印象づけています。

また、その内容は若い卒業生に対して、無駄に他人の人生を生きるのではなく、自分の心の声を聴いて、自分の直感を信じて生きなさいということを話しています。

そして、自分の人生に影響を与えた言葉「Stay hungry, stay foolish.」という言葉を卒業生に送っています。

このスピーチが世界的にすばらしいスピーチとたたえられているのは、不幸な子供時代を過ごし、大学を中退したスティーブ・ジョブズが他人とは違う人生を歩み、会社を立ち上げ、成功したり失敗したりして歳をとり、病気となり、死を意識して生きる年齢となっているという状況で、あえて自分の人生を振り返って本心で語っているという姿にあると思います。