「赤毛のアン」の時代背景が面白い

「赤毛のアン」を翻訳した村岡花子さんの生涯を描いたNHKの朝ドラ「花子とアン」をご存知でしょうか?

私は、このドラマに感動して村岡花子さん訳の「赤毛のアン」の本を人生で初めて読み始めました。

赤毛のアンは、絵本になったり、アニメになったりしていますので、それなりに知っているという方も多いと思いますが、実際に本を読んだことがある人は少ないのではないかと思います。

というのも、「赤毛のアン」は全11巻の大作で、11巻目は上・下2巻となっていますので、文庫本で読むと計12冊分あるというものなのです。

物語は、赤毛のアンが孤児としてマリラとマシューに引き取られるところから始まりますが、学校時代、大学時代、教師時代、新婚時代、子育て時代と進んでいきます。

何しろ登場人物の多い物語ですが、多くの人々の出会いや愛情深い物語は、とても新鮮で感動の連続です。

作者のモンゴメリーは、1900年の初頭にこの本を出版していますが、この本を読み進めていくにつれ、1900年当時の人々の考え方や生き方を知ることができるようになります。

その中でもびっくりするのは、16歳~18歳くらいの年齢で、小学校の教師になっているということです。

また、物語の舞台はカナダの小さな島なのですが、その当時はイギリスからの移民がほとんどで、キリスト教が考え方の規範となっていたことがうかがえます。

本の中では、アメリカは、野蛮な国として描かれているところも面白いのですが、日本のこともほんの少しですが、アンの友人が日本に行って住んでいるなどの話題も出てくるくだりもあります。

物語の中で必ず出てくるのが、教会の牧師の話題です。牧師はもともと住んでいる人ではなくて、外からやってきて教会に住み込む形をとっていたようです。

牧師の教会での話しが立派か、立派でないかということが人々の間で必ずうわさになっていたり、教会の派閥みたいなものがあって、その派閥によって人々が仲が悪かったりすることがあったようです。

それと、もうひとつ興味深い部分は人々の服装にもあります。

アンは最初は貧しかったのでいい服は着せてもらえませんでしたが、よそ行きの服として1年に1回くらい新しい服を買って(仕立てて)もらえているようでした。

その服の素材としてよく出てくるのが「モスリン」という素材です。モスリンというのは、羊毛でつくられた薄手の生地らしいのですが、それは高級な素材だったそうです。

また、柄として出ているのが「ギンガム」という柄です。ギンガムというのは「格子柄」ということらしいのですが、当時はおしゃれなものだったようです。

1900年当時の人々の暮らしは決して裕福なものではなかったようですが、自然の景色の美しさや、アンのまわりにいる個性あふれる人々の姿が生き生きと描かれており、キリスト教の厳格な規範の中でも、人々は自由に考えたり、行動していたことが推察できます。

私は現在「赤毛のアン」の10巻目を読んでいるのですが、まだまだ先は長いようです。

いよいよ年末になってきて、今年もあと10日あまりとなってきています。

電車の中ではスマホばかりしないで、いい本を買って読むようにしてください。

ヒューマン話し方教室 スタッフより