「嫌われる勇気」というドラマを見ていますか?
このドラマには、象徴的な言葉が多くでてくるので、それが私たちの日常の生き方を考える上で一つのヒントになるかもしれません。
このドラマを見る前に、NHKの「100分DE名著」という番組でアドラーが取り上げられて、書店で番組の本が売られており、購入して読む機会がありました。
その本の中で初めてアドラーの写真を見た時は、ちょっと威張った感じのおじさんだなあというイメージを持ちました。(笑)
でも、NHKの番組本を読んでみて、アドラーは1870-1937という時代に生きた心理学者ですが、その提唱している心理学の言葉は現代人に対して、まさにピッタリくる言葉だと感じました。
アドラー心理学の本質は、「人はどうすれば幸福になれるのか」という点です。
ドラマの中で、よく見られるのは「自己と他者」をきちんと区別しているという点です。
私たちは、一人で生きているようで、実際には家族や会社や社会という中で、多くの人と関わって生きています。
他人のためにと思って行動していることは、実は自分のために行動していることになっています。
人間関係でのトラブルは、「自己と他者」を区別しないで、自己中心的な感情で行動してしまうことで生じてくるのかもしれません。
私たちは、生まれながらに「誰かに認めてほしい」という欲求を持っていますが、それが強くなりすぎると、他者に対して依存してしまい、他者のための人生を生きることで、自己が喪失されてしまう危険性があります。
このため、アドラーは「誰かに認めてほしい」という欲求(承認欲求)からの解放が必要であると提唱しています。
このためには、人と人との間にある問題が、「いったい誰の課題なのか」という点を考え、自分の課題と他者の課題をきちんと分けて考えることで、お互いに対等な関係を築くことが大切だと説いています。
この問題は、社会や会社の中だけではなく、家族の中でも必要ですし、親子でも必要であると言っています。
誰とでも対等な関係を築くことは、すでに依存状態にある私たちにとっては、かなり無理な部分もありますが、それをあえて行動として実践して、対人関係を変えてゆくことが、「嫌われる勇気」というテーマにつながってくるのだと思います。
実は、対等な関係を作ることはとても重要です。
アドラーの逸話の中にこのようなお話があります。
かなり重度の精神患者と話すときは、普通の人であれば、おそらく相手が何を考えているのかがわからずに、右往左往すると思います。しかし、アドラーは重度の精神患者であってもとても楽しく会話ができ、さらに相手の精神患者もとても楽しそうに話しているという状況が生まれていたそうです。
これは、アドラーがどんな人であっても、きちんとした対人関係を築ける方法を知っていたからだと思われます。
対等な関係が築けることで、お互い信頼することができ、よりよい関係に発展することができます。
ここで勘違いしてほしくないのは、「対等な関係」という意味です。自分と他人が異なる人間である以上、何もかもが対等ということはありません。それぞれの役割の中で対等であるという点が大切だと思います。
さらに、私たちの中に本質的にある「承認欲求」を、レベルを上げて「社会貢献」というレベルにまで昇華することで、「自分は誰かの役に立っている」という満足感に変えることで、私たちは幸福を感じるようになるとアドラーは言っています。
このドラマを見ながら、自分の今の状況を心理学的に見つめ、具体的な行動に移していければ、アドラー心理学の実践になります。
でも、たぶんドラマを見て面白いだけで終わってしまうのが一般人なんですよね。(笑)
ヒューマン話し方教室 スタッフ