映画「この世界の片隅に」を見てほしい

今年に入って注目の映画ということでまず最初に見なければと思ったのが、「この世界の片隅に」というアニメ映画です。

この世界の片隅に

アニメ映画ですが、実話に近いストーリーを描いています。

原作は、こうの史代さんが描いたマンガ「この世界の片隅に」なのですが、映画は片渕須直監督により、さらに細かな時代考証が行われ、映画の準備だけで4年が費やされたという渾身の力作となっています。

クラウドファンディングングという新しい資金集めの方法で、この映画は作られました。

つまり、一般の人からの寄付によって作られた映画です。

そのため、スポンサーの縛りや政治的な縛りがなく、日本の戦時中の歴史をアニメとして描くという点において本当に正しい表現ができている映画だと感じました。

映画のエンドロールでは、寄付をした人や会社の名前が出てきます。

日本の戦争の時代を直接知らない私達の世代は、学校教育をはじめとして、マスコミや一部の政治的な団体による歴史観、特に過去の戦争にかかわる歴史観が多様化しすぎて、本当の生身の人間が感じた昭和初期の時代というものを知る機会がとても少なかったように思います。

また、昨今ではお隣の韓国や中国からの一方的で政治的な歴史観に対して、私たち日本人として何らかの歴史観を個人個人が持つことが求められているように思います。

このような中で、この映画が持つ意味はとても深いと言えます。

昭和の初期といえば、今のようにインターネットもなければ、テレビもないという時代ですから、情報は新聞やラジオから得るしか手段はありませんし、なによりも自分の住む町から遠くにいくことがとても不安に感じる時代だったのではないかと思います。

映画を見ると、たとえ戦時中という厳しい時代であっても、楽しんだり、笑ったり、悲しんだり、苦しんだりしながら、必死に生きてゆく人々の姿は、現代の私たちとなんら変わることはなく、昔の時代から今の時代に受け継がれる一本の糸のようなものが感じられるように思います。

一つの時代を生きた、一人の女性の生き方を通して、私たちが知らなかった本当の歴史の姿(人々の生きた歴史)が見えてきます。

この映画を見た後に感じる「なんとも言えない感覚」は、言葉では表せない感覚だと思います。

それは、日本人だけが感じるものなのか、それとも外国の人々も感じる感覚なのかはわかりません。

それが何であるのかを自分で見出していくことが、時空を超えた本当の歴史を知ることなのかもしれません。

どこの映画館でも見れるわけではないのですが、多くの方に見ていただきたい映画だと思います。

 

ヒューマン話し方教室 スタッフより