私たちは、毎日生きているだけで数々のストレスを受けています。
しかし、すべてのストレスが自分にとってマイナスではありません。
自分にストレスを与えるものを一つ一つ書き出してみると、以外なことに気付くかもしれません。
(1)環境からのストレス
たとえば、天気、気温などの環境、混んだ電車や、長時間の通勤などがこれにあたります。基本的には、多くの人に同じようなストレスがかかっているものについては、「しょうがない」と考えるので、大きなストレスにはなりにくいと思います。
ただ、震災や災害などにあって、環境が大きく変わってしまうと、昔の記憶と現在の状態が違いすぎるということで、大きなストレスがかかってしまうことがあります。地震などにあって必死で避難しているときよりも、ある程度落ち着いて自分の環境を見つめてしまうと、このような状態になります。
(2)人間関係のストレス
家庭内での問題、地域での付き合い、会社での人間関係などがこれにあたります。毎日会う人、話す人だからこそ、ストレスになりやすいと思います。ただ、ストレスの原因は相手だけにあるのではなく、自分にもあることが多いので、自分の対応だけで、半分は制御することができるストレスです。
(3)自分の中にあるストレス
これは、病気や体調によるストレスと、心や考え方によるストレスの2つに分けられると思います。病気の場合は、病名が分かってしまったり、治療方法が確立すれば、ストレスの程度は小さくなりますが、病名や治療方法が明らかにならないような病気に関しては大きなストレスになると思います。
一方で、一番問題となるのが心や考え方で生まれてしまうストレスです。たとえば、他人と自分を比較して自分が劣っていると考えてしまうようなストレスです。自分が正しいと思っていたことを他人が否定するような場合にも、自分の中にストレスがたまります。これらのストレスは目には見えないストレスであるがゆえに、解決の手法が見つかりにくく、他人には理解できないストレスであるために自分ひとりで抱え込んでしまいがちです。
(4)お金に関するストレス
私達は、死ぬまでずっと生きていくためにお金を得ることが必須です。ですからお金を稼いだり、物を買ったりすることは避けては通れません。しかし、現代のストレスの多くは、お金を持つものと、持たないものの間にある格差によって生じていることが多いのではないかと思います。
みんなが貧しい時代には、それほどなかったことが、成熟した日本社会で生じていて、それが日々のストレスになっていることもあるかと思います。
(5)競争社会のストレス
人は平等であるといいながら、私達は絶えず人との競争にさらされています。会社であれば、同じ業界内での競争、外国の会社との競争にさらされていますし、個人の場合は、会社での個人評価や、社会での評価、家族や親せき内での評価なども自分自身が感じるストレスになります。
現代社会は、永久に競争をやめない社会であるということが、世界中の人々の心に大きな重圧を与えていることは間違いありません。
このようにストレスを分類してみて思うのは、ストレスから逃げることはできないということです。これらのストレスを自分の中でどのように処理していけば、正常な心や生活を保つことができるかが、個人個人の中で問われていることだと思います。
私達の中でも、ストレスをあまり感じない人と、なんでもストレスに感じてしまう人がいます。このような人の違いはどこから来るのでしょうか?
体力があればストレスは乗り越えられるのでしょうか?それとも、根性があればストレスは乗り越えられるのでしょうか?
私自身は、こう考えます。1つのストレスがあったとき、そのストレスをどのように自分の中で解釈するかだと思います。その解釈の仕方によって、ストレスはストレスではなく、ただのあるがままという状態に変わるように思います。
ストレスを抱える多くの人が持つ問題は、ストレスの連鎖です。1つのストレスから多くのストレスが派生し、増大してくることが一番危険なことです。
自分の生活を見つめなおし、自分のライフスタイルや自分の固定観念を変えてゆくことで少しずつストレスを「あるがまま」という状態に変えられるのではないかと思うのです。
「話す」という行為は、それだけでストレスの解消になることがあります。自分が考えたことや、自分に起こったことを人に話すだけで、とても安心した気分になります。
人と打ち解けあって話せないという人は、ストレスがたまりやすいと思います。コミュニケーションの不足から誤解が生じて、それがストレスに発展することもあります。ですから、人と人が「話す」という行為だけで、世界中のストレスの容量は減少していくのです。
私たちが生まれたときから持っている「話す」「笑う」「怒る」「泣く」という基本的な能力こそが、ストレスを無力化し「あるがまま」の姿に変えていくことができると思うのです。
ヒューマン話し方教室 スタッフより