まずは、以下の動画を見てください
これは、近畿大学の卒業式でのホリエモンのスピーチです。
まず、気づくことはホリエモンの恰好です。卒業式の来賓といえば、黒いスーツに胸にリボンをつけている姿を想像しますが、Tシャツに青いジャケットという出で立ちです。
原稿も全く見ないで話す姿は、さすがにホリエモンだなあと思いました。
それでは、この話の内容について振り返ってみたいと思います。
話しの内容の振り返り
(1)レールの人生から脱却して、今からやることは何か?
- みなさん、おはようございます。
- レールの上を走ってきた人生はこれで終わりです。
- 卒業→就職→結婚→家族→家を建てる→定年→退職なんていう普通の人生は歩めない。
- インターネットとグローバル化の中で社会のしくみは知らないうちに大きく変わっている
- だから、できるだけ自分で情報に触れ、ブログやSNSで発信することが大切
- ブログやSNSは自分の頭で考え、発信していく「くせ」をつけることができる。
(2)アタリマエの時代は終わった。
- 権威がアタリマエでない時代になる。
- 権威、マスコミ、会社の上司が言っていることに従えばいいという時代はとうに終わっている。
- これらのことはすべてグローバル化がもたらしたこと。
- 日本は戦後豊かになったが、その昔貧しかった時代のことを知らない人が多い。
- この豊かな日本がアタリマエだった時代はすでに終わっている。
(3)グローバル時代への危機感を持て!
- 先日北海道でタイ式マッサージを受けたが、その料金は5000円だった。
- 一方、タイの本場で受けたマッサージの料金はチップも含めて2500円だった。
- その差は、たった2倍。東南アジアの経済発展は急速に進んでいる。
- 東南アジアには富裕層がゴロゴロいる。
- そういう時代に突入しているという危機感を持っている人が少なすぎる。
- アフリカの奥地に携帯電話の基地局を立て、中国の安い携帯が普及している。
- これまで未開発の地域に住んでいた人たちが、スマホで世界最高峰の知に触れることができる。
- これからは、そういう人たちと同じ土俵で生きていくことになる。
- そして、努力をしない人は取り残されてくる世の中になる。
(4)常識に縛られてはいけない。
- これまで生きてきたようにレールの上を走り、まわりの目を気にしていればいいという時代は終わった。
- 入った会社だって、つぶれるかもしれないし、合併されるかもしれない。
- 人間関係・家族制度・道徳・倫理・常識などは変わってゆく。
- 情報を収集して、常識にしばられないことが大切だ。
(5)チャレンジをすることを恐れるな。
- でも、未来は悲観することはない。
- 私もジェットコースターのような人生を送ってきたが、悪いことはすべて忘れるようにしている。
- 過去を悔やんでもいいことはない。
- チャレンジすれば失敗はあるかもしれないが、成功することもある。
- チャレンジしなければ、失敗することもなりが、決して成功することはない。
- もし失敗したときは、再発防止策を練って、酒を飲んで寝て、忘れることが大切。
- そして次なるチャレンジがうまくいくと思いこむことです。
(6)未来はわからない。今に集中して生きろ!
- グローバル社会になって、道なき道を歩むようになる。
- 年金がもらえるだろうかと今から考えても、未来は思うようにはならない。
- だから、僕は老後のことなんか考えない。老後になってから考えればいい。
- 人間は、5年先でも予測なんてできない。
- 10年前に、歩きスマホして、ラインをしている姿を想像することができただろうか。
- 未来のことなんか心配しても意味がない。過去を悔やんでいる暇もない。
- 今を一生懸命に生きるしかない。
- 楽しく生きるためには、今を集中していきればいい。
- 目先のことに集中すること。まずはそれをやってください。
(7)贈る言葉
- 最後に贈る言葉をいいます。
- 未来を恐れず、過去に執着せず、今を生きろ。
- ありがとうございました。
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話しの組み立て
最初に導入部分で、レールに乗った人生が終わり、新たな人生のステージに立っていることを述べています。今からやらなければならないことは
「インターネットで情報を収集し、自分の頭で考えられるようブログやSNSで情報発信をしなさい」
と、具体的な結論を述べるともに、これを布石として、次の話にその理由を探させています。
次に、権威に頼るアタリマエの時代と豊かだった日本が終わるということを述べ、さらに、自分の経験という具体例を述べながら、グローバル時代の登場により、世界や東南アジアの状況が大きく変わってきて、努力しなければ取り残されていくという危機感を伝えています。
さらに、今まで信じていた常識が変わってゆく時代が来るので、変化する時代に対応するためには、今までの常識に縛られてはいけないと強調しています。
そして、ここまで述べてきた流れを大きく変える言葉が出てくるのです。
それは、「でも、未来は悲観することはない」という一言です。
自分の経験を述べながら、チャレンジして失敗しても大丈夫という安心感と、未来なんかわからないんだから、過去に何があっても、今を一生懸命に生きればいいんだと訴えています。
そして、今を集中して生きることこそが大切なんだと話をまとめに導いています。
最後に、象徴的な贈る言葉として、
「未来を恐れず、過去に執着せず、今を生きろ」
という言葉で、スピーチを閉めています。
起承転結のルール
話の流れのほとんどは、「起承転結」で必ずできています。
結論は、以外と単純なことなのだが、その前ふりこそが、スピーチの良し悪しを決めているのです。
1つの言葉の重みをより重くし、深みをより深くするために、身近な具体例をあげながら、話をすすめていく必要があります。
大切なのは、「転」のところです。
ほとんどの話で「転」には「救い」があります。物事が好転するというキッカケが「転」なのです。
「結」を導くための「起承転」なのです。
こういう話の組みたては、原稿もなしに作ることは不可能です。
何度も話の流れを考えていく中で、最もしっくりとくる流れに仕上げていく作業があります。
十分に練られたスピーチは、人々の心に残り、語り継がれます。
決して簡単なスピーチであっても、自分を表現する場なのです。
そういう意味で、ホリエモンのスピーチは十分に練られているスピーチだと思います。
ヒューマン話し方教室 スタッフより