私たちのまわりには、多くの動物がいます。
ペットとして飼われている犬や猫もいるでしょうし、木々や庭先にいる小鳥、そしてゴミ置き場近くにいるカラス、さらには、駅のプラットフォームにいるハトなどもそうです。
彼らは、人間のように話すことはできませんが、彼らの持つ鳴き声や行動で、仲間とコミュニケーションをしています。
先日、いつものように電車に乗ると、一匹の盲導犬が電車の入り口にいました。
盲導犬のご主人は初老の女性の方のようでした。
電車の扉が閉まり動き出すと、盲導犬は、主人の傍らの床に小さく身を縮めて伏せの姿勢をとり、その尻尾はまわりの人の邪魔にならないように、自分の体のまわりにぴたっとつけて待機していました。
目的の駅に着くと、すでに理解しているようにすっくと立ち上がり、主人を連れて電車のドアから出ていきました。
私たちがペットとして飼っている動物も、口では話しませんが、態度や鳴き声で何かのコミュニケーションをとろうとします。
同じように、ベビーカーに乗せられて電車に入ってくる赤ちゃんがいます。
多くのまわりの人が赤ちゃんとみると、赤ちゃんもじっと見返して、いろんな表情を見せてくれます。
本来、私達人間も、原始的な生活を送っていた時代には、じっと相手をみたり、大きなジェスチャーをすることで、喜怒哀楽を表現していたのかもしれません。
いつの頃からか、言葉で支配される時代になり、言葉以外のコミュニケーションの方法を忘れてきているのが、私達人類なのかもしれません。
サイレント・コミュニケーションは、人間とペットの間だけでなく、人間どうしの間にも存在します。
相手をじっと見つめて、相手が望んでいることに思いを馳せることが、サイレント・コミュニケーションのはじまりです。
話す前に、話しながら、話し終わる時、聞く前に、聞きながら、聞き終わる時、そういう一瞬一瞬に、私たちは無意識のうちにサイレント・コミュニケーションを使っているように思います。
ヒューマン話し方教室 スタッフより